「人を増やせば解決する」と思っていた忙しさの中に、実は業務の流れや組織内の認識のズレが隠れていることがあります。

このコラムでは、ゆたか税理士法人が考える業務改善支援の視点について、実際の支援事例も交えながらお伝えします。

 

1.「人が足りない」と感じる前に見直せることがあります

 「現場がいつも忙しい」

 「社長が現場に追われ、本来の業務に集中できない」

中小企業の経営者の方から、このようなお話を伺うことがあります。

もちろん、本当に人員が不足している場合もあります。

しかし、日々の業務を詳しく見ていくと、忙しさの原因が単純な人手不足だけではないことも少なくありません。

 

たとえば、書類やデータを探すのに時間がかかる、社長や一部の担当者に判断・確認が集中している、確認する人や

タイミングが決まっていない、同じ内容を何度も入力している、社長の考えが現場に十分伝わっていない。

こうした小さな“詰まり”が積み重なることで、現場の負担が大きくなり、「本来すべき業務に集中できない」

「スタッフが定着しにくくなる」「改善しようとしても実行されない」という状態につながります。

 

そして、業務の流れが整っていない状態は、月次資料の作成や数字の確認にも影響します。

結果として、経営判断に必要な情報が遅れ、社長が次の一手を考える時間を確保しにくくなることもあります。
 

業務の詰まりを整理し、現場の流れを改善していくイメージ
 

2.業務改善はシステム導入だけではありません

業務改善というと、「新しいシステムを導入する」「作業時間を大幅に減らす」といった取り組みをイメージされるかもしれません。

 

もちろん、システム導入やデジタル化が有効な場面はあります。

しかし、業務改善は必ずしもITツールを導入することから始まるわけではありません。

 

むしろ、最初に大切なのは、今の仕事や組織の流れのどこで、何が詰まっているのかを見つけることです。

  • なぜ確認に時間がかかるのか。
  • なぜ一部の人に仕事が集中するのか。
  • なぜ決めたことが実行されないのか。
  • なぜ経営側と現場側で、課題の捉え方にズレがあるのか。

 

こうした問題は、単にシステムを導入すれば解決するものではありません。

その会社の状況に合わせて、無理なく続けられる形に整えていく必要があります。
 

3.事業承継の準備で見えてきた「組織内の詰まり」

あるお客様で、事業承継を前提としたアクションプランの作成を進めていた事例があります。

後継者候補である役員の方は、将来に向けた計画を考える一方で、幹部候補の育成が進みにくいこと、

経営陣と従業員の間に認識のズレがあること、経営陣の考えが現場に十分伝わっていないこと、

勤続年数の浅い従業員が定着しにくいことなどに悩まれていました。

 

この状況では、たとえ立派なアクションプランを作成しても、実行することが難しいと考えました。

 

そこで私たちは、経営陣だけで計画を作るのではなく、従業員の皆様も巻き込みながら、

会社の現状や特徴を整理する場を設けることを提案しました。

 

その第一歩として、会社の「強み」と「弱み」を知るための社内研修をサポートしました。

当日は14名の方に参加いただき、4つのグループに分かれて、会社の強み・弱みについて意見を出し合いました。

それぞれの意見についてディスカッションし、最後にグループごとの考えをまとめて発表していただきました。

経営陣と従業員が意見を出し合い、会社の強みや課題を整理する研修のイメージ
 
研修後、後継者候補の方からは、参加者の意見をもとに会社の強み・弱みを整理できたこと、

また、想像していた以上に従業員が意欲的に取り組んでくれたことが、とても有意義だったとのお声をいただきました。

 

その後の面談でも、会社や従業員について新たな発見があり、従業員の意欲やコミュニケーションにも良い変化が見られたと伺いました。

 

この事例で行ったことは、システム導入ではありません。

しかし、経営陣と従業員がともに会社の現状を見つめ直し、認識のズレを整理し、次のアクションにつなげるという意味では、

まさに業務改善の出発点だったと考えています。

 

最初から解決策を決めるのではなく、会社の中で何が起きているのかを同じ目線で確認することが、改善の第一歩になります。
 

4.大切なのは「現場で続けられる形」にすること

業務改善には、絶対的な正解があるわけではありません。

会社によって、人数、業務量、社員の経験、社長や後継者の考え方、現場の忙しさ、これまでの会社の歴史は異なります。

他社でうまくいった方法が、そのまま自社に合うとは限りません。

 

だからこそ私たちは、外から一方的に正解を押しつけるのではなく、その会社の現場に合った方法を

一緒に考えることを大切にしています。

 

ときには、保存場所や確認手順を整えることが改善のきっかけになります。

ときには、経営陣と従業員が会社の強みや課題を話し合う場を作ることが、次の一歩につながります。

 

私たちが考える業務改善は、人を減らすための取り組みではありません。

今いる人が無理なく働き、それぞれが本来担うべき仕事に集中できる状態を整えることです。

 

5.まずは日々の小さな違和感から

もし今、

  • 忙しい理由が分からない
  • 改善したいが、どこから手をつければよいか分からない
  • 社長や後継者に判断が集中している
  • 従業員との認識のズレを感じる
  • 計画を立てても、実行に移せるか不安がある

と感じているなら、まずは仕事や組織の流れのどこで“詰まり”が起きているのかを整理してみることが大切です。

 

業務改善は、いきなり大きく会社を変えることではありません。

日々の小さな違和感を見過ごさず、現場で無理なく続けられる形に整えていくこと。

ゆたか税理士法人は、その一歩を一緒に見つけるところから、業務改善支援を始めています。