最新情報

採用情報

最新情報

今年の最低賃金はどう変わる?押さえておきたい改定内容 ~大阪市本町の税理士通信~

■はじめに

令和7年度の最低賃金は、全国加重平均で1,121円と過去最高水準に引き上げられました。
引き上げ額は66円で、昭和53年度に目安制度が創設されて以来、過去最高の上昇幅となっています。
これにより、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えるという節目を迎えました。

厚生労働省:令和7年度地域別 最低賃金 全国一覧
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

※最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」があります。ここでは「地域別最低賃金」についてお話しします。

■発効日の柔軟化

今回の改定で注目すべきは、最低賃金の発効日です。
これまではすべての都道府県で日にちは多少前後しても、10月に一斉改定されてきましたが、令和7年度は地域によって時期が分かれています。たとえば、78円の引き上げ行う群馬県は令和8年3月1日、80円の引き上げを行う秋田県では令和8年3月31日と、いずれも年度末ギリギリの発効となっています。

この背景には、近年の大幅な賃金引き上げを受け、事業者側に十分な準備期間と周知期間を確保する必要があるという配慮があります。単なる改定額の問題にとどまらず、実務面での負担軽減を意識した運用へと変化している点が特徴です。

■最低賃金はどの地域に合わせる?
最低賃金は、原則として「労働者が実際に働いている事業所の所在地」に応じた都道府県の金額が適用されます。
たとえば、本社が東京にあり支社が大阪府にある場合は次の通りです。

•本社勤務の従業員   → 東京都の最低賃金(1,226円)
•大阪支社勤務の従業員 → 大阪府の最低賃金(1,177円)

つまり、同じ会社でも勤務地ごとに適用される最低賃金は異なるため、給与設定の際は所在地ごとの確認が欠かせません。
ちなみに、テレワークの場合は自宅住所ではなく、所属する事業所の所在地に応じた都道府県の金額が適用されます。

■給与改定に備える、会社の準備ポイント

まずは給与体系の見直しです。改定後の最低賃金に満たない従業員がいないか確認し、必要に応じて給与や時給を引き上げましょう。
たとえば、大阪府勤務のパート社員の時給が1,114円(R6最低賃金)の場合、改定後は1,177円以上に設定する必要があります。
この際、年収の壁を越えて扶養から外れたり、自身で社会保険に加入するケースもあるため、あわせて確認しておくことが大切です。

また、最低賃金の引き上げは、人件費の増加を通じて会社の利益計画や資金繰りに直接影響します。
特に人件費比率の高い業種では、コスト負担が大きくなりやすく、経営戦略の見直しが必要となります。
一方で、従業員の定着や意欲向上につながる側面もあり、バランスの取れた対応が求められます。


■まとめ

いかがでしょうか。令和7年度の最低賃金改定は、従業員の給与だけでなく、会社の経営にも影響を及ぼします。
給与体系の見直し、従業員への周知、経営面での影響整理の3点を押さえることで、スムーズに対応していきましょう。

税務調査・事業継承・家族信託・財務支援・業務改善なら、税務会計のプロ
大阪市中央区のゆたか税理士法人まで


最新情報 最近の記事一覧

2025.10.21
今年の最低賃金はどう変わる?押さえておきたい改定内容 ~大阪市本町の税理士通信~
2025.10.07
ポイント付与が廃止されたふるさと納税とは?~大阪市本町の税理士通信~
2025.09.16
輸出物品販売場制度での免税手続きがもっとスマートに!万博で先取り体験できる「リファンド方式」~大阪市本町の税理士通信~
2025.09.01
【秋の繁忙期に備える、経理業務効率化のヒント】 ~大阪市本町の税理士通信~
2025.08.19
ヒューマンエラーを防ぐには、仕組みと“ちょっとした工夫”がカギ!~大阪市 本町の税理士通信~
2025.08.05
【承継】つなぐ ということ ~大阪市 本町の税理士通信~
2025.06.24
【税務調査ゼロを目指すノウハウを大公開】特別セミナーを開催します!2025年7月【大阪】
2025.06.10
改正「労働安全衛生規則」と職場の熱中症対策
2025.05.27
副業収入と住民税について ~大阪市 本町の税理士通信~
2025.05.13
【令和7年度税制改正】扶養控除&新設「特定親族特別控除」で学生アルバイトと家計にゆとりを ~大阪市本町の税理士通信~

ページトップへ