2025(令和7)年4月に開幕した大阪・関西万博も、閉幕まで残り約1か月。
来場者数が増え、会場は賑わいを増しています。
テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。
公式キャラクター「ミャクミャク」が象徴するように、未来へのつながりを感じられる
場となっています。
そんな未来社会のショーケースともいえる万博会場では、日本における外国人旅行者等
(免税購入対象者)向け免税制度の新しい姿を先取り体験できます。
会場内では、免税サービス大手のグローバルブルーがデジタル免税サービスを提供。
専用アプリ不要で、スマホやメールから免税手続きや返金状況をリアルタイムで
確認できる仕組みが導入されています。
この仕組みは、2026(令和8)年11月1日から全国で導入される「リファンド方式」
による免税手続きの先行体験です。
従来は免税店(輸出物品販売場)で購入時に消費税が免除されていましたが、
事業者・旅行者双方の事務負担や転売目的など不正利用の問題が指摘されてきました。
新たに導入されるリファンド方式では、旅行者側の流れが以下のように変わります。
・ 購入時:税込価格で購入
・ 出国時:税関で購入品を確認
・ 確認後:消費税分が返金(リファンド)
これにより、
・ 転売目的などの不正利用が防止しやすくなる
・ 店舗が免税要件を満たさなかった場合に税額を負担するリスクがなくなる
・ 空港での手続きがスムーズになり、旅行者の利便性が向上する
といったメリットが期待されます。
また、改正では、免税対象物品の要件もシンプルになります。
・ 一般品と消耗品との区分を廃止
・ 消耗品の購入上限額(50万円)や特殊包装義務を廃止
・ 「生活に使う物かどうか」の判定を不要に
なお、金地金や金貨など不正利用の懸念が高い物品は従来通り免税対象外です。
さらに、リファンド方式の導入により、免税店の会計・税務処理も変わります。
・ 販売時点:税込価格で販売 → 課税売上として計上
・ 税関確認後:要件を満たした場合、課税売上から免税売上への振替処理を行う
方法①:税関確認情報ごとに逐次振替
方法②:月次など一定期間ごとに一括振替
・ 期をまたぐ場合:販売期と確認期が異なるときは、修正申告は不要で、
確認を得た期に調整可能
返金については、事業者自らが行うことも、承認送受信事業者等に委託することも
可能です。銀行振込やクレジット送金、アプリ送金、空港での現金返金など柔軟な方法が
想定されています。
この仕組みにより、以下のような効果が期待されています。
・ 帳簿・仕訳処理が明確化
・ 従来のように要件不備で後から追徴されるリスクが軽減
・ 経理実務が効率化し、販売活動に専念できる環境が整う
大阪・関西万博で体験できるデジタル免税サービスは、制度改正を先取りした、
まさに未来のショッピング体験です。
リファンド方式は、旅行者の利便性を高めるだけでなく、免税店の経理処理も
合理化する仕組みとして、日本の免税ショッピングをより快適で安心なものへと
進化させることが期待されています。
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