令和8年度税制改正大綱において、中小企業者等向けの税務上の特例措置である「少額減価償却資産の取得価額要件」が
現行の30万円未満から40万円未満に引き上げられること が盛り込まれました。
(財務省公表資料:https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/index.html)
本稿では、その内容・背景・実務上の留意点を整理します。
1|制度の概要
少額減価償却資産の特例(措置法67条の5等)は、中小企業者等が取得した一定の減価償却資産について、
原則的な耐用年数に応じた償却ではなく、取得年度に一括して損金算入(経費化)を認める制度です。
これにより、年度内の利益圧縮やキャッシュフロー改善が期待できます。
従来の基準は以下の通りです。
・取得価額が「30万円未満」の資産が対象
・年間合計の損金算入限度額:300万円(現行制度)
今回の改正では、この取得価額要件の引上げが行われます。
2|令和8年度税制改正大綱における変更点
(1)取得価額要件の引上げ
現行:取得価額30万円未満
改正後:取得価額40万円未満
→ 40万円未満の資産であれば、購入した年度に全額損金算入が可能となります。
(2)適用期限の延長
現行の適用期限(令和8年3月31日)から3年延長される予定です。
なお、年間合計限度額(例:300万円)は改正大綱文でも明示的に触れられておらず、
現時点では 現行どおり維持されると解釈されます。
3|改正の背景
この見直しは、昨今の物価高騰の影響をうけ、パソコンやOA機器等の単価が上昇しており、
30万円基準では中小企業の実態に合わなくなっていることが背景にあると考えられています。
4|実務上のポイント
対象資産と留意点
本特例の対象となるのは、法人税・所得税それぞれにおける減価償却資産であり、
耐用年数に応じて通常は数年にわたって費用化されるものです。
一括損金算入の適用には、確定申告書別表等の届出・区分記載が求められます。
適用漏れや誤用があると、税務調査で否認されるリスクがあるため、証拠書類の整理が重要です。
年間の合計限度額にも注意が必要です。
本改正は、中小企業や個人事業主の設備投資のタイミングを柔軟にするものであり、
小口の設備取得に係る節税・資金繰り改善に有効です。ただし、適用要件の細部には注意が必要です。
正式な法案成立後の施行令・通達の動向にも留意してください。
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